越後妻有2011夏

8/19から8/21、新潟県は越後妻有へ。

越後妻有の林間学校という、8月の週末を中心に様々な分野の専門家たちがワークショップや公演を開催し、夏休みを親子連れ(大人だけでも可だけど)で楽しもう!というイベントで、この週は、先日訪問させていただいた石巻市立荻浜小学校の生徒たちも参加するということで、しのくにもその時のお手伝い仲間たちとボランティアとして一緒に同行させてもらった。

我々にとっては荻浜小の子たちと一ヶ月ぶりに再会できるというなんとも楽しみな日。
被災地の方は大人子ども問わず無料で参加できるイベントで、仙台市や福島県などから参加した親子も。
参加した人たち全員が楽しめるようお手伝いするのが我々の役目だ。

そうは言いながらも再会する子たちがどんな反応するか、もしかして忘れられてたりして…とかいろいろ考えてしまってたのは正直なところ。
実際にはみんなちゃんと覚えててくれてホッと一安心…。

越後妻有アートトリエンナーレは、これまでも音楽イベントに出演したりしていて何度が来たことがあって、来るたびになんだか自分の故郷に帰って来たような感覚になる。
地元の方々や長く関わっているボランティアやスタッフの方々には仲良くさせてもらってる人たちもたくさんいて、今回この地域に来たのは約2年ぶりなんだけど、あんまり久しぶりな感じがしないのは不思議。

この週の林間学校は19日の午後からスタート。我々は一歩遅れて19日の深夜に現地到着、その日は空家の宿泊施設で就寝。
翌日早朝から、参加者の子どもたちや親御さんや荻浜小の先生方が宿泊している三省ハウスへ。
朝食やスタッフの人たちとの打ち合わせや再会組との挨拶そこそこに、午前のワークショップへ向け今度は農舞台へ。

農舞台は、以前に演奏したりいろいろお手伝いで活動したりと、何かと思い入れ深い場所。
今回は今まで来た時とは少し意味合いが違うけど、それもまた感慨深い。

この日の最初は衣服造形家 眞田岳彦さんによるワークショップ。
手袋型のパペットに草花で装飾したり、防水加工の布を使っていろいろな遊びをしたり。
子どもたち最初は悪戦苦闘気味だったけど、布をつかって水を運ぶレースや、一枚一枚の布をつなげて大きなトンネルつくったりではおおはしゃぎだった。

お昼は地元のお母さま方がにぎってくれたおにぎりやお漬物。
これがまたたまらなくうまい。(宿泊施設での朝食も地元の新鮮な素材満載でこれもまたもちろんうまい。)
開放的な自然の中だとなおさら、とは言うけど、こればっかりは間違いなくどこで食べてもうまい。

午後は創作和太鼓集団 鬼太鼓座のワークショップ、地元十日町市の子どもたちによる水沢石場かち、我らが(?)荻浜小の子どもたちによる南中ソーランの発表会。
鬼太鼓座の楽器ワークショップ後には全体のコラボレーション合奏もあったりして、こちらは素直に観客として楽しんでしまった。
荻浜小の南中ソーランは先日の石巻訪問でも見させてもらったので今回で2回目だったけど、子どもたちのお父さん方曰く「あれは大人でもキツイ」というほどの激しさ。
小さな小学校で人数は少なくても、全校生徒(今回は10人!!)で踊るよさこいはそれはもう感動的。
それがここ農舞台で見られるなんて…と、我々にとっては感慨もひとしお。

その後は参加者の皆様は温泉雲海へ、我々も会場片付け後同じ温泉へ。

当然のごとくサウナ後の水風呂でプール状態ではしゃぐ男子…。
こればっかりはおさえきれないんだなぁ。
俺も小学生だったら絶対やってたもんなぁ。
注意しつつも、「後で絶対怒られるわ…」とはスタッフのHさん。
「まぁ…しょうがないっすね…」とわたくし。

さて温泉後は再び三省ハウスへ戻って夕食。しかしちょっとでも空き時間があれば遊び回るのが子どもたち。
三省ハウスは廃校になった小学校を宿泊施設として再利用していて、体育館もそのまま残っている。
ボールや卓球台やバトミントンラケットがあって遊び放題。
子どもたちの底なしのエネルギーにはほんと驚かされる。

夕食後はこの日最後のワークショップ。
アーティスト高橋匡太さんが屋外にLEDライトを地面に埋めたスペースをつくっていて、小雨が降ってちょっと天気はイマイチだったけど、幻想的な空間になっていた。

その後もまだ遊び足りないのか子どもたちと体育館でバトミントンや卓球を。
しかしみんなうまい。サーブで回転かけてくる女の子にはまいった。笑

しばらく遊んでから部屋に戻ると、一杯始めてるお父さんたち。
親子そろって元気だなぁ。

一緒に混ぜてもらっていろいろ話しつつ呑んでると志野からケイタイに電話が。

体育館でリクエストもらって今からライブをやることになったとのこと。
??状態だったけど話を聞いていると、荻浜小の子が、石巻に行った時にやった「今君に」を覚えてくれていて、唄ってくれと言われた、と。
子どもたちの前で演奏したのは一回だけだったので、曲を覚えてもらってるということにまず驚いたし、リクエストをもらえるとはなかなかこれ以上の嬉しさはない。
すでに呑んでしまっているものの、お父さん方に状況を説明し、体育館へ。
お父さん方は先日の石巻訪問の際の我々の演奏は聴いていないので、興味を持ってくれて一緒に移動。

今回もちゃっかりギターは用意していて、林間学校の最終日に演奏させてもらう予定はあったんだけど、これは全く予想外の展開。

校長先生は我々のCDを「車の中でよく聴いてますよ」と言ってくれていたので、あとから「校長先生が学校でCDかけたりして仕込んでくれたんですか?」って聞いたんだけど、そうではないらしく。

これもあとで志野から聞いたけど、唄う前に「今君に」を口ずさんでる子もいたそうで、これまたすごい…。
曲をかいた人間としては、もう嬉しいとしか言いようがない。

石巻で演奏した時の日記に、こちらが感動してしまうくらいみんなすごく真剣に聴いてくれた、と書いたけど、それにこんな続きがあるなんて予想してなかった…。

そんなこんなで体育館でゲリラライブ。
荻浜小の子たちや親御さんだけでなく、他の参加者の親子や三省ハウスのスタッフの方も集まってくれた。
「今君に」の他にも我々のオリジナル曲や、以前にもやったカントリーロードなんかをやった。
そして途中からは前回もご一緒したO先生のギターに加え、さらに今回は鬼太鼓座のお一人がジャンベで参加(!!)。
同じ宿舎に泊まっていたので、音を聴きつけて来てくれて、一緒にやってもいいですかと言ってくれた。

この施設は23:00が消灯なんだけど、なんだかんだでギリギリまで演奏させてもらった。
子どもから自分の曲をあれこれ名指しでリクエストされるなんて初めての経験だったけど、これは一生残る思い出になるだろう。

この日の夜は全然寝付けなくて、寝床で新しく曲をかいた。
これをまたいつか、今夜聴いてくれた子どもたちの前で演奏したい。


さて最終日。
朝食後は子どもたちより一足先に、まつだい郷土資料館へ。
宇宙物理学者 池内了さんの講演のための会場準備。

まつだい郷土資料館は、明治初期の民家を梁や柱などほぼそのまま再利用して移築したそうで、とても静かで穏やかな空間。
昨日のお昼はここで食べさせてもらったんだけど、そのまま大の字で昼寝したくなるくらい素敵な建物。

しかししばらくして子どもたちが来ると、急に活気のあるにぎやかな場所に。
講演は子どもたちにはちょっと難しいかなとも思ったけど、スクリーンに銀河やいろんな星の写真が映し出されると大人も子どももぐぐっと惹きつけられてた。
わたくしは講演中は記録撮影係をやったんだけど、写真を撮っていると子どもたちの心境の変化がより具体的に感じられるような気がして、撮ってて楽しかった。

徐々に近づくお別れの時間。

講演後は再び農舞台へ移動し、机や椅子を並べてみんなで昼食のカレー。
食後休憩のあと演奏させてもらえることになってたので、満腹にはできなかったけど(満腹になってしまうと唄いにくい!)、これまたうまかったなぁ。

農舞台のスタッフの方々が機材を用意してくれ、食後休憩中にボランティアのみんなが椅子を並べてくれ、農舞台は即席のミニコンサート会場に。

我々のオリジナル曲を4曲やった。
前日の演奏でも聴いてくれてた福島から来ていた小学生の女の子が「今君に」を一緒に口ずさんでくれていて、志野は何度も目が合ったそうだ。
子どもたちはもちろん、お父さんお母さんや先生方も真剣に聴いてくれたのがほんとに嬉しかった。

「旅人へ」という曲をやる時に、ちょっと話をした。
旅人には帰る場所があって、待ってくれている人がいるということ、それはとても幸せなことだと思うという内容。

今回の震災で、家がなくなってしまった人たち、大切な人を失ってしまった人たちがたくさんいて、その人たちの気持ちを簡単に知った気になるのはとてもできることではない。
原発の影響で、家はあるのに帰れない人たちもいる。
その人たちにかけられる言葉は、今でも見つけられない。

でも石巻に行って、小学校のすぐ近くを流れるとんでもなくきれいな沢を見て、あれだけつらい体験をした後なのに海で遊んではしゃぐ子どもたちを見て、ここの子どもたちには帰れる場所があるんだなと思った。

夏休みが終われば、学校には子どもたちをむかえてくれる先生方がいる。
たとえ血がつながっていなくても、そばにいてくれる人がいる。
いろんなところに、懐かしく思えたり、安心できたりする場所がある。
それは、これからもっと増やすことだってできる。
その幸せを、子どもたちには全力で感じてもらいたいと思う。


演奏のあと、林間学校参加者のみんなはバスへ乗り込み、荻浜小のみんなともお別れ。

バスが見えなくなるまで手を振った。
きっとまた会えるから、悲しむ必要はないだろう。
みんな、楽しんでくれたと思う。
お互いに、ありがとうございましたと言った。


我々はもう一仕事。
儀明という地域で開催されるカラオケ大会に参加。ここでもしのくには特別ゲスト(?)枠で、一曲演奏させてもらった。
それにしても我々なんぞが特別ゲストでいいんでしょうかというくらいの呑めや唄えやの大盛り上がり。何十年も聴き込んだ曲を、人生の大先輩方が熱唱していて、なんだか「唄とは何か」を教えてもらったような感じ。
はっきり言って、心に沁みた。

ところでここでもしのくにを知ってる、というツワモノが…。
我々がゲスト参加させていただくことをご存知だった方が、YouTubeで事前にライブ映像をチェックしていたとのこと(!!)。
これにはほんとに身の引き締まる思いだった…笑。

と、これで我々の新潟ツアーは終了。
毎度のことながら、後ろ髪ひかれる思い。

しかし今までは、演奏することやアートトリエンナーレを見物することが主で、どちらかと言えばお客感覚が強かったけど(自分が演奏するんだからそれではいけないんだが)、今回は被災地の方々を招待する、という側にまわったこともあって、また違った角度でこの場所を見られた気がする。

震災もさることながら、このあたりはつい最近の豪雨の影響もあって、土砂くずれが起きているところや、被害を受けた家屋や、修復が必要な芸術祭の作品など、多くの傷跡がある。
我々が宿泊させていただいた三省ハウスも大きな被害を受けたそうだ。
(と、聞かなければわからないくらい、地元の方々、スタッフの方々の力により見事にきれいになっていた。)
ほんとだったら簡単に旅行者を迎え入れられるような状態ではないんだと思う。

それでも、と、懸命に取り組んでる人たちがいるから、楽しめる人たちがいる。
ほとんどの場合、そういう人たちは表に出てくることはない。
でも表に出てくることが全てではない。当たり前だけど。

真摯であること、責任を背負って、でも時には息抜きして、でも時に誰かのために大真面目になってしまうこと。
それが正しいとか間違っているとかではなくて、あるいは何でもいいやでもなくて。

単純な答えでない大切な何かを、教えてもらった気がする。

そういうことを伝えられる曲をかけたらいいと思う。
道のりはまだまだ長い。

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